上のグラフは心筋梗塞などの心原性心停止の発症率の推移を月毎に示したものです。肌寒くなる10月頃から増え始めて、寒冷期である12月から1月に最も発症率が増加しています。
寒くなると、体は血管を収縮させて、体温が下がりすぎないよう調節しています。健康な状態では、血管壁もきれいで血行も良好ですが、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、喫煙、加齢などが原因で動脈硬化を起こすと、狭くなった血管の内側に、お粥のようにドロドロとしたプラークと呼ばれる物質がたまって盛り上がり、血行を悪くしたり石灰化をおこしたりします。
動脈硬化が進むと、心臓の筋肉に酸素や栄養を供給している「冠動脈」と呼ばれる血管が狭くなり、心臓に十分な血液が運ばれず、胸を締め付けるような痛みが生じます。これが「狭心症」です。
また、冬場に暖かい部屋から急に寒い場所に移動すると血圧が急激に上昇し、心臓はより強い力で全身に血液を送り出そうとします。その勢いによって血管内のプラークを覆っている膜を破り、プラークに血液が付着して血栓ができてしまうと、血管が詰まり血流が完全に途絶して心臓の筋肉が壊死する「心筋梗塞」が起こります。激しい胸痛が10分以上持続し、死の危険にさらされる大変危険な状態です。